研究課題
本研究の目的は、申請者らが開発した複数の筋ジストロフィーモデルショウジョウバエを用いて、疾患原因遺伝子とその遺伝的相互作用遺伝子群の機能解明を行ない、筋ジストロフィー病態解明に貢献することにある。また各種疾患モデルショウジョウバエを用いたバイオアッセイ系とカイコ多角体病ウイルス機能を利用して疾病関連タンパク質を固定化したマイクロフローセルチップを利用したスクリーニングシステムを組み合わせて新しい創薬プロセスを開発し、筋ジストロフィーを始めとするヒト遺伝性難病の有効治療法開発への道を開拓する。1) 筋ジストロフィー病態解明のためのβサルコグリカン遺伝子の生体内機能解明:筋ジストロフィー原因遺伝子のひとつであるβサルコグリカン遺伝子とEGFR経路構成遺伝子との遺伝学的相互作用が見られ、またβサルコグリカンの細胞外ドメインにEGF様のアミノ酸配列を持っているので、これが細胞膜上でEGFRの機能を抑制する可能性が考えられた。そこでこのモデルを検証するため大腸菌でともに発現させたβサルコグリカンとEGFRが共沈することを見出した。このことはβサルコグリカンとEGFRが相互作用しうることを意味する。2) カイコ多角体病ウイルス機能を利用したβサルコグリカン関連タンパク質のマイクロフローセルチップの開発:カイコ多角体病ウイルスVP3由来の多角体固定化シグナルをβサルコグリカンタンパク質に導入したコンストラクトを作製し、多角体タンパク質とともにカイコ細胞で発現させることにより、βサルコグリカンを多角体中に固定化することに成功した。3) 筋ジストロフィー病態解明のためのシントロフィン遺伝子の生体内機能解明:筋ジストロフィー関連遺伝子であるシントロフィン1とシントロフィン2遺伝子の突然変異系統やノックダウン系統を樹立し、特にシントロフィン2遺伝子がアクチン重合の制御を通じて成虫複眼形態形成に関与することを明らかにした。
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Experimental Cell Research 316
ページ: 272-285
http://www.bio.kit.ac.jp/chromosome/INDEX.html