研究概要 |
本研究の月的は、申請者らが開発した複数の筋ジストロフィーモデルショウジョウバエを用いて、疾患原因遺伝子とその遺伝的相互作用遺伝子群の機能解明を行ない、筋ジストロフィー病態解明に貢献することにある。また各種疾患モデルショウジョウバエを用いたバイオアッセイ系とカイコ多角体病ウイルス機能を利用して疾病関連タンパク質を固定化したマイクロフローセルチップを利用したスクリーニングシステムを組み合わせて新しい創薬プロセスを開発し、筋ジストロフィーを始めとするヒト遺伝性難病の有効治療法開発への道を開拓する。平成22年度は特に筋ジストロフィー関連遺伝子であるシントロフィン遺伝子の生体内機能について大きな進展が得られた。平成21年度に樹立したシントロフィン1遺伝子のノックダウン系統とシントロフィン2遺伝子の突然変異系統を組み合わせて作製したシントロフィン1,2二重変異系統では生存率の顕著な低下が見られることがわかった。またクライミングアッセイによりエスケーパーとして羽化した二重変異系統成虫の運動能力が顕著に低下していることを見出した。これらの二重変異系統の神経筋接合部ではシナプス末端の異常伸長が見られ、これが運動能力低下の一因であることが明らかになった。また東京大学生物機能制御化合物ライブラリー機構より入手した化合物ライブリーを用いてシントロフィン1,2二重変異系統の生存率を回復させる低分子化合物のスクリーニングを開始している。
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