研究概要 |
本課題ではトマト果実発達初期のデンプン生合成に着目して,ADP-glucose pyrophosphorylase(AGPase)の発現制御メカニズムや栽培環境ストレス,糖代謝シグナルクロストークの実態解明を進めている. 1.果実におけるAGPase発現制御様式の解明 AgpL1遺伝子の発現応答性,糖濃度依存性,相乗効果の有無について解析した.その結果,L1遺伝子の糖による発現制御にはスクロースの代謝が重要であり、その閾値は10-100mMの間にあること,ヘキソカイネースを介した糖シグナリングが関与することを明らかにした(継続). 2.AgpL1およびAgpS1遺伝子の転写因子単離と機能解析 前年度単離したAgpS15'上流配列にGUS遺伝子を連結した発現ベクターを構築し、果実へ導入してプロモーター活性を確認した。また各プロモーターについて形質転換体の作出を開始した(継続). 3.AGPase遺伝子RNAi形質転換体の作出と機能解析 前年度作出したAgpL1,AgpS1遺伝子RNAi形質転換系統4タイプ(CaM35Sおよび果実特異的Ppc2プロモーター連結型)についてT_3世代においてエリート系統の選抜を行った。また、各系統について形質調査を行い、デンプン含量が減少していること、35Sプロモーター駆動型形質転換体においては植物体全体のバイオマスが低下していることを明らかにした(継続). 4.NCED遺伝子過剰発現形質転換体におけるデンプン生合成・糖代謝動態の解析(研究分担者が担当) CaM35SプロモーターにNCED遺伝子を連結した形質転換個体におけるABAの定量について検討した。またM35Sプロモーターに替り果実特異的プロモーターにPpNCED1およびPpNCED2を連結したベクターの構築を開始した(継続).
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