研究概要 |
根粒菌はマメ科植物と共生するとバクテロイドへと分化し、その応答は形態的にもタンパク質レベルでも変化する。本研究室ではこれまでにミヤコグサ根粒菌のバクテロイド分化におけるタンパク質応答についてプロテオーム解析により網羅的に調べてきた。その結果、主要なタンパク質以外に機能未知タンパク質がバクテロイド分化により増加することを明らかにしてきた。本年度は、その一つであるABCトランスポーターアミノ酸結合タンパク質を欠損させた根粒菌変異株(STM42)をミヤコグサに感染させると、窒素固定能が減少することを明らかにした。この遺伝子はインゲン根粒菌aapJと高い相同性を示すもののバクテロイドを抽出後、遊離アミノ酸量を定量した結果、Lys, Arg, His, Ornといったカチオン性アミノ酸量が野生株バクテロイドより減少していることが明らかとなった。この結果からインゲン根粒菌では、Glu, Aspの輸送として知られているトランスポーターと相同性が高いミヤコグサ根粒菌アミノ酸トランスポーターは、共生により積極的にカチオン性アミノ酸をバクテロイド内へ流入を行っていることを示している。さらに、グルタミン合成酵素欠損変異株STM30根粒菌をミヤコグサに感染させると老化根粒の増加が観察された。STM30感染根粒のCN比を測定すると野生株を感染させたときと比較してCN比が高くなることを明らかにした。 共生組織形成におけるホルモンカスケードの役割を検討するために、アロースなど各種糖のジベレリンシグナル系への効果も検討した。
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