サツマイモより分離した、Bradyrhizobium属およびPscudomonas属内生細菌の窒素固定活性発現機構を、培養条件で検討した。Bradyrhizobium属およびPscudomonas属内生細菌ともに、炭素源に糖および有機酸を添加した半流動培地で窒素固定活性が認められた。一方、ダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)では、この条件下では窒素固定活性は認められなかった。Bradyrhizobium属およびPscudomonas属内生細菌の窒素固定活性は、培地から有機酸を欠如することにより低下したことから、これらの菌の窒素固定活性の発現には、有機酸が寄与しているものと考えられた。また、これらの菌の窒素固定活性は、培地へのアミノ酸の添加により抑制された。Bradyrhizobium属、Pscudomonas属内生細菌ともに、窒素固定活性は好気的な条件に比べて、嫌気的な条件で高い傾向にあった。 これらの菌を無菌サツマイモの根より接種したところ、Bradyrhizobium属内生細菌は、葉、葉柄、茎および根を含む全身において菌の定着が認められた。一方、Pscudomonas属内生細菌では、葉への感染は検出できなかった。また、植物の窒素栄養状態は、これらの内生細菌の感染・定着には大きな影響を与えないものと考えられた。これらのことから、試験に用いたBradyrhizobium属とPscudomonas属細菌では、植物体内への感染・定着機構に違いがあるものと推定された。
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