本研究では、海藻等のバイオマス資源を分解する極限環境微生物を探索、単離し、それらの分解機構の解明と利用技術の開発を目指した。長崎近海で収集した各種海藻等に付着する微生物を分離するため、有用糖質(デンプン、セルロース、アルギン酸等)を炭素源として海藻断片を培養し、懸濁してきた培養液をそれぞれの寒天培地に塗布、培養した。培養後、増殖してきたコロニーを純化し、単離したコロニーをスラントに移し、保存、解析を進めた。 その結果、pH10、塩濃度10%のデンプン含有培地においては39株、pH10、塩濃度3.5%のデンプン含有培地においては26株、pH10、塩濃度10%のセルロース含有培地においては21株、pH10、塩濃度3.5%のセルロース含有培地においては18株、pH10、塩濃度10%のアルギン酸含有培地においては20株、pH10、塩濃度3.5%のアルギン酸含有培地においては12株を分離した。 現在、得られた菌株をそれぞれの糖質分解能確認用寒天培地で増殖させた後、コロニー周囲におけるハロー形成の有無を指標に分解能を持つ菌株の選択を進めている。また、pH10、塩濃度3.5%のデンプン含有培地においてアガラーゼ活性が見られた菌株が2株確認された。 今後は得られた菌株の中から高分解能を示す菌株を選択し、選択された分解菌の性質を調べる予定である。
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