研究課題
平成22年度の研究計画に基づいて酵母アシル転移酵素LPT1と細胞膜リン脂質の不均衡分布の関連を解析した。酵母にはアシル転移酵素としてLPT1の他にSLC1が知られており、2つの酵素はホスファチジン酸合成において協調して働いていると考えられたことから、新たに分裂酵母においてLPT1,SLC1それぞれの遺伝子破壊株、高発現株の構築を行った。SLC1遺伝子破壊株にLPT1高発現プラスミドを形質転換した株より調製したミクロソーム画分を用いて酵素活性をしらべたところ、不飽和結合をもつアシル基に高い特異性を示した。さらに、LPT1遺伝子破壊株にSLC1高発現プラスミドを導入した株を構築し酵素の基質特異性をしらべたところ、SLC1はリゾホスファチジン酸に高い特異性を示したが、リゾホスファチジルコリンでは活性の有無は確認できなかった。そこで、大腸菌を用いたSLC1の高発現系の構築を行った。その結果、分裂酵母を宿主とする場合よりも高い活性を得ることができた。さらに、C-末端にHis-tagを付加した組み換え酵素の生成に成功し粗酵素標品について基質特異性を調べるとともに、ニッケルカラムを用いた酵素の精製と詳細な性質の解明をめざして研究を行っている。
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