研究課題
前年度に分裂酵母において構築したアシル転移酵素LPT1およびSLC1の遺伝子破壊株、高発現株を培養し、Bligh & Dyer法により脂質抽出した。これらの脂質をMS/MSを用いた比較解析を行った。その結果、破壊株においては、リゾリン脂質の蓄積が認められた。また、出芽酵母のリゾリン脂質アシル転移酵素であるLPT1に関して細胞膜におけるトポロジー解析を行った。Lpt1-GFPを用いた蛍光顕微鏡解析の結果Lpt1-GFPは、小胞体膜に局在することが考えられた。そこで、Lpt1のハイドロパシープロット解析を行い膜貫通領域の推定を行った。その結果を基にLpt1の親水性領域に酵母のインベルターゼであるSuc2の糖鎖付加配列を導入したキメラ酵素13種類を構築した。このキメラ酵素を用いてLpt1が小胞体膜でどのような配位をしているかを解析した。すなわち、Suc2の糖鎖付加配列が小胞体内腔に配位すると糖鎖が付加されるが、細胞質側に配位すると糖鎖付加が起こらないことを利用して解析する方法である。糖鎖の付加は、Lpt1を糖鎖切断酵素であるEndo-Hで処理することで判別した。その結果、Lpt1のN-末端、7番目と11番目の親水性ループが小胞体内腔に配位していることが明らかとなった。また、活性中心として保存されているヒスチジン残基は、9番目の親水性ループに存在することから、本酵素の触媒作用は細胞質側で行われていることが明らかとなった。
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