以下の3項目の研究を実施した。 1.遺伝子破壊と中間代謝産物の解析:リベロマイシン生産菌(Streptomyces reveromyceticus)から同定したリベロマイシン生合成遺伝子クラスターに見出される機能未知遺伝子を効率的に解析するために、λRedシステムを導入し、全遺伝子の破壊ベクターを調製した。各破壊ベクターを用い、P450RME、revL、revXの遺伝子破壊を行った。P450RME遺伝子破壊株に蓄積する代謝産物の解析を行った結果、生合成中間体としてRM-Eを同定した。revL遺伝子破壊株では、リベロマイシン類の生産が半減したが、新規代謝産物は同定されなかった。revX遺伝子破壊株に蓄積する代謝産物について、現在構造解析を進めている。RevSと予想される遺伝子の破壊は、現在進行中である。 2.生化学的解析:フラビン依存酸化酵素RevX機能解明に向けて、異種発現により蛋白質精製を試みた。大腸菌での発現が困難であった為、放線菌Streptomyces lividansを用いた発現系の構築を行った。RevLは、脂肪酸-ポリケチドハイブリット形成に必要な鍵酵素と推定し、大腸菌発現蛋白質を調製し、各種脂肪酸基質との反応を解析したところ、RevLの機能は、脂肪酸-CoAリガーゼであることが判明した。 3.X線結晶解析情報を基にした新規酵素反応の創出 P450RME-リベロマイシンEの共結晶解析データを利用して、部位特異的変異導入を行った。変異導入した蛋白質を発現、精製し反応産物の解析を行ったところ、水酸化部位改変が可能となるアミノ酸残基を見出す事が出来た。
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