研究課題
これまでに分離された中から、好圧性生分解性プラスチック分解菌Moritella polymerulytica strain JT01株は、分解性プラスチックマテリアルであるポリカプロラクトン(PCL)の分解活性が強いので、この株に着目して、分解性プラスチック分解に関連する酵素、リパーゼ、エステラーゼ類の遺伝子の取得を試みた。方法としては、JTOl株の染色体DNAを調整し、大腸菌の宿主ベクター系を利用したショットガンクローニング方を用いた。その結果、複数株のリパーゼ、エステラーゼ活性を有する形質転換体が得られ、遺伝子シーケンスの配列解析より、5種類の配列の異なる新規の分解性プラスチック分解酵素遺伝子が取得されたことがわかった。これらの酵素を発現させてその性質を調べた結果、低温・高圧条件でも活性を保持し、深海環境条件下でも高い活性を示すことが示された。次に、低温・高圧条件下における、分解性プラスチック分解活性を評価するための培養装置の開発に関して、これまで問題点であった、加圧の伝導ポンプの駆動部付近からの微生物のコンタミは、ライン洗浄と薬剤(70%エタノール)による殺菌を徹底すること、装置全体を低温室(4℃)に入れて操作する、という工夫をすることにより最低限に抑えられることがわかった。こうしてセッティングした連続培養装置により、PCLシートの分解活性評価試験をしたところ、良好な結果が得られ、十分に実用に耐えられることがわかった。以上の結果から、3年間の研究期間の最終年度に当たって、ほぼ当初の計画を達成することができた。現在これらの成果について、論文作成、投稿中である。
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