研究課題/領域番号 |
21580108
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
木村 賢一 岩手大学, 農学部, 准教授 (30344625)
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研究分担者 |
塩野 義人 山形大学, 農学部, 准教授 (80361278)
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キーワード | Saccharomyces cerevisiae / Ca^<2+>-signal transduction / Eremoxylarine / Anthracobic acid / Benzophomopsin A |
研究概要 |
受精、免疫、神経系など種々の重要な細胞機能の調節に関わる新たなCa^<2+>シグナル伝達阻害剤を、Ca^<2+>感受性かつ薬剤超感受性の遺伝子変異酵母(zds1Δ erg3Δ pdr1/3Δ)が、そのCa^<2+>シグナル伝達に関わるいずれかの分子標的が阻害された結果示す特徴的な生育円という表現型を用い、微生物の単離化合物に求めた。本研究では、構造の異なる新規物質の分子標的の解析を、合成致死の性質を有する遺伝子破壊酵母や野生型酵母の特徴的な生理的性質に加え、結合タンパク質の手法を用いることで明らかにすることを目的とし、その解析の結果、有効な可能性のある病態が明らかとなり、将来的には医薬品などとして国民の健康に寄与することを考えている。 新規物質eremoxylarin A(1)とanthracobic acid A(2)に、強力で濃度依存的な遺伝子変異酵母の生育円活性が認められたことから、昨年度は特に2についての標的分子の解析を進めた(1は、ヒトのカルシニューリンを阻害することを既に明らかにした)。その結果2は、合成致死の性質を示すcnb1Δ株とmpk1Δ株に対して同程度の作用を示し、またmap1Δ株とmap2Δ株では、後者に対して8倍程度強く作用した。そこで、ヒトメチオニンペプチダーゼ-1と-2に対する阻害を調べたところ、それぞれIC_<50>>336μMとIC_<50>=100μMを示した。この時、ヒトメチオニンペプチダーゼ-2の阻害剤である類似の構造のフマギリンは、ほぼ文献値と同様のIC_<50>=21.6nMを示した(メチオニンペプチダーゼ-1の阻害剤は市販されていない)。一方、昨年度もスクリーニングを継続した結果、植物寄生菌Phomopsis sp.から、benzophomopsin A(3)と名付けた新規物質を新たに単離同定した。3は、同じスクリーニング系で1.25μg/discで生育円が生じた一方、同時に得られたエポキシ基を有さない既知物質xylarinol Aは、10μg/discでも活性が認められなかった。
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