胆汁酸特異的硫酸転移酵素SULT2A4の基質特異性の解明 リコンビナントSULT2A4を大腸菌で発現し、得られた酵素を用いて基質特異性を検討した。その結果、予想していたとおり胆汁酸類のC-7位の水酸基を特異的に硫酸化することが明らかとなった。またSULT2A4のコール酸を基質にした場合の至適pHが6~6.5と低いことを明らかにした。また、コール酸、ケノデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロケノデオキシコール酸、グリココール酸に対するKm値、Vmax値を決定した。その結果、コール酸がもっとも効率よく硫酸化を受ける基質であることが判明した。 SULT2A4の部位特異的変異の導入による触媒反応メカニズムの解明 SULT2A4の反応メカニズム解明のため、触媒中心に位置するLeu99およびHis48を標的として部位特異的変異の導入を行い、ミュータント硫酸転移酵素を作製した。今年度は、L99H、H48T、H48N、E237A、E237Qの5種の変異酵素を作製したので、来年度以降これらの変異酵素を用いた解析を行う予定である。 これらの結果より、SULT2A4は、胆汁酸C-7位の水酸基を特異的に硫酸化する非常にユニークな硫酸転移酵素である。その生理機能としては、細胞毒性の高い2次胆汁酸の生成を抑える機構への関与が考えられた。すなわち1次胆汁酸から2次胆汁酸への腸内細菌による代謝の初期に関わるC-7位の脱水酸化をあらかじめ硫酸化しておくことで抑制し、毒性の高い2次胆汁酸の生成を抑制する解毒機構として機能している可能性が考えられた。
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