研究課題
酸素は多くの生物の生存に必須であるが、その一部は代謝の過程で活性酸素へと変化し、老化や疾病など種々の生命機能の劣化を引き起こす。しかし、細胞レベルにおける活性酸素の生成機構やその消去機構については不明な点が多い。これらを解明できれば、人類の健康増進(老化防止や疾病予防など)に大きく貢献できる。私たちはこれまで、哺乳類培養細胞やモデル生物の線虫Caenorhabditis elegansを用い、活性酸素感受性の変化を指標にして、活性酸素の生成や消去に関わる遺伝子を同定してきた。これら遺伝子の機能解析を行い、活性酸素が細胞内で及ぼす影響を解析し、老化や疾病の分子機構を解明することを目標とする。C.elegansの活性酸素感受性変異体oxy-4、oxy-5、rad-8の原因遺伝子の機能解析OXY-4、OXY-5、RAD-8タンパク質のC末端に蛍光タンパク質(GFP)を融合させ、C.elegans内に発現させることで、C.elegan組織での発現パターンや細胞内局在を調べた。本年度は、ミトコンドリアをマイトトラッカーで標識し、OXY-5、RAD-8タンパク質がミトコンドリアに局在することを確定させた。。C.elegansの活性酸素高感受性をもたらす遺伝子の網羅的探索RNAi法として、簡便な2本鎖RNAを餌の大腸菌内で発現させるfeeding RNAiを用いる。C.elegansの第1番染色体上の遺伝子を対象としたRNAiライブラリー(約2,400遺伝子、Geneservice社)を用いて、遺伝子を1つずつノックダウンし、活性酸素感受性を高める遺伝子を同定する。本年度の研究より、第1番染色体上の遺伝子を対象とした探索を完了した。
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