この年度では更なる高収率再生を求めて、再生初期構造に影響を与える諸条件を検討した。透析法では、時間がかかることより、新たに希釈法を用いて、リゾチーム、3SSリゾチーム、リボヌクレアーゼの再生を行った。 まずリゾチームに関して、グリセリンでは40%添加したとき65%という収率を得た。一方、凝集抑制効果があることから、再生に期待されたアルギニンはゆっくりと再生していくが、収率はスタンダードより悪くなっていた。水に溶けにくい物質の影響を調べた。有機溶媒であるアセトニトリルを利用した結果、5%添加で約69%の収率を得ることができた。アセトニトリルを利用し脂肪酸の溶解を試みたが、パルミチン酸ナトリウム0.01Mはアセトニトリル50%添加しても溶けることはなかった。インドール酢酸0.01Mは10%添加で完全に溶けたが、収率43%とスタンダードとほぼ一緒であった。緩衝液の影響も調べた。リン酸緩衝液は15%と悪く、ホウ酸緩衝液は0.1Mで67%という収率を得た。しかし、時間とともにタンパク質の凝集と思われる白い浮遊物が確認された。イミダゾール0.15Mにグリセリン40%添加したときに収率が80%に達した。 現在は、不安定なタンパク質としては4個あるSS結合の1個だけ切断してカルボキシメチル化した3SSリゾチームを用い、また、その他のタンパク質として、リボヌクレアーゼを用いて、様々な安定化剤と緩衝液の影響、透析への巻き戻しへの影響、pHや温度も考慮しながら初期構造への影響を解析している。
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