今年度では更なる効率再生を求めて、再生初期構造に影響を与える諸条件を検討した。透析法では、時間がかかることより、新たに希釈法を用いて、3SSリゾチーム、リボヌクレアーゼ、完全還元リボヌクレアーゼの再生を行った。 3SSリゾチームの再隼は8M尿素及び2-メルカプトエタノールで変性還元状態にし、様々な添加剤を含む溶液を用い100倍希釈で行った。 添加剤なしの場合、再生収率は約10%と低かったが、グリセリンを10%、30%、40%、50%のいずれの濃度で添加した場合、再生収率を向上させることができた。40%の濃度で添加したとき、最も高い再生収率30%を得ることができた。スクロースの場合においても1膿度添加したとき約25%の再生収率を示し、0.25M、0.5M添加でも約20%であり、無添加より約2倍上昇した。それ以外のサルコシンやアルギニンは顕著な上昇は認められず有害な影響を及ぼした。一方、アセトニトリルは5%添加で約4%の上昇を示したことより、水に不溶な化合物の影響を調べられることが期待できる。緩衝液の影響を調べた結果、リゾチームの実験で良く用いられているリン酸緩衝液では有害な影響を示した。イミダゾール塩酸緩衝液では、0.15Mで約4%の上昇を示し、さらに、40%グリセロールを含む0.15Mイミダゾール塩酸緩衝液を用いて再生を試みたところ、今回の実験で最も高い再生収率47%を得ることができた。 現在は、リゾチーム以外のリボヌクレアーゼ、完全還元リボヌクレアーゼを用いた再生実験を行っている。今後は高分子量のタンパク質やサブユニット構造をもつタンパク質に広げていき、普遍的な方法を確立していきたい。
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