研究概要 |
まず、天然paenidase Iの配列分析を行い、68番目までのアミノ酸配列を決定した。つぎに、各種PCRにより得られたDNA断片の塩基配列を決定し、これよりpaenidase Iの全アミノ酸配列を推定した。その結果、paenidase前駆体は322アミノ酸残基からなる成熟領域と、197アミノ酸残基からなるN末端延長ペプチドから構成されていることが明らかになった。配列をもとに成熟paenidase Iの分子量を計算すると34,980となり、天然paenidase IのMALDI-TOF/MSの結果(34,748)と近い値を示した(Takahashi et al.2006)。つぎに、アミノ酸配列の相同性を解析したところ、種々のβ-lactamase、penicillin-binding protein、D-Ala-D-Ala carboxypeptidaseと35~39%の相同性があることが明らかになった。さらに、ペプチダーゼファミリーS12に分類されることが推定された。ペプチダーゼファミリーS12は、活性部位にSer、Lys、Tyr残基をもつセリンプロテアーゼの一群であり、Ser-Xaa-Thr-LysおよびTyr-Xaa-Asnのモチーフを持つ。これらのモチーフはpaenidase Iにおいても保存されていた。また、S12にはStreptomyces R61 D-Ala-D-Ala carboxypeptidase、D-Stereospecific aminopeptidase DmpB、alkaline D-peptidaseなどのD型アミノ酸を認識するペプチダーゼが属しており、paenidaseの構造機能相関を解明する上で大変興味深い。
|