研究課題
まず、種々の条件でpaenidaseの結晶化を試みた結果、硫酸アンモニウムを緩衝液に用いる条件で結晶が得られた。X線回折法により得られた結晶を解析したところ、約3Aの解像度であった。現在、解像度を上げるために結晶化条件の再検討を行っている。つぎに、平成21年度に本研究で明らかにしたpaenidaseのアミノ酸配列をMEROPSデータベースにより解析したところ、プロテアーゼファミリーS12に分類された。S12は、活性部位にSer、Lys、Tyr残基をもつセリンプロテアーゼの一群であり、Ser-Xaa-Thr-LysおよびTyr-Xaa-Asnのモチーフを持つ。これらのモチーフはpaenidaseにおいても保存されていた。そこで、これらの推定される活性部位Ser、Lys、Tyr残基を種々のアミノ酸に置換した変異体(S65A、S65C、K69A、K691、Y149F)を作製した。得られた変異体はいずれも不活性型となったが、これらのCD及び蛍光スペクトルは野生型のスペクトルと一致し立体構造の変化は見られなかった。このことから、paenidaseにおいてもこれらのアミノ酸残基がpaenidaseの活性発現に重要な役割を果たしていることが示唆された。さらに、活性部位近傍のHis残基を置換した変異体(H111A、H276A)を作製したところ、活性理が得られた。これにより、paenidaseの反応機構が一般的なセリンプロテアーゼのそれとは異なることが示唆された。さらに、paenidase阻害剤をスクリーニングしたところ、微生物の培養上清から単離することに成功した。
すべて 2010
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 74 ページ: 2154-2157