組換えPaenidaseを用いての種々の合成Aβペプチド(10残基)の基質特異性を解析した。その結果、DAEFRH-[D-α-Asp]-SGYは加水分解したが、DAEFRH-[L-α-Asp]-SGY、DAEFRH-[L-β-Asp]-SGY、DAEFRH-[D-β-Asp]-SGYには作用しなかった。このことから、PaenidaseはD-α-Aspのみを基質とする極めて特異的なエンドペプチダーゼであることが示唆された。つぎに、種々の抗生物質について、Paenidaseが阻害を受けるかどうか解析した。その結果、Ampicillin、Benzyl penicillin、Carbenicillin、Cloxacillin、Oxacillin、Ticarcillineでは、10mg/mlの濃度において残存活性10%程度の阻害が見られたが、Kanamycin、Streptmycinでは阻害されなかった。よって、Paenidaseはペニシリン系抗生物質によって比較的弱く阻害を受けることが明らかとなった。一方、Paenidaseと阻害剤との共結晶を試みるため、新規阻害剤を合成した。現在、この阻害剤を用いた共結晶の条件検討を行っている。また、活性部位近傍のHis残基を置換した変異体(H111A、H276A)を作製したところ、活性型が得られた。これにより、Paenidaseの反応機構が一般的なセリンプロテアーゼのそれとは異なることが示唆された。また、Paenidase阻害剤をスクリーニングし、新規阻害剤の単離に成功した。現在、構造解析を行っている。
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