研究課題
我々は、植物の乾燥や高塩条件などの水分ストレス応答機構に重要な機能をもつ細胞膜局在型レセプター様キナーゼ(RLK)の単離同定を行った。水分ストレス応答性のシステインリッチリピート(CRR)-RLKサブファミリーに属する、シロイヌナズナ細胞質型キナーゼ遺伝子ARCK1に着目し、その植物体中における機能解析を行った。ARCK1遺伝子発現は水分ストレス及びアブシジン酸(ABA)処理により主に葉で上昇し、GFP-ARCK1タンパク質は細胞質に局在することが示された。arck1変異体は、ABAによる子葉緑化抑制に感受性を示した。ARCK1と相互作用し受容体複合体を形成する因子を明らかにするために、共発現解析および酵母2-ハイブリッドスクリーニングを行った結果、CRR-RLKに属する新規の水分ストレス誘導性RLK遺伝子CRK36を単離同定した。CRK36遺伝子は水分ストレスにより主に地上部で発現が誘導され、CRK36-GFP融合タンパク質は細胞膜に局在した。ARCK1およびCRK36細胞内ドメインのリコンビナントタンパク質を用いた免疫沈降法、および、植物細胞を用いたBiFC法による解析を行った結果、2つの因子はこれらの系において相互作用を示した。さらに、CRK36高発現植物において高塩ストレスによるARCK1リン酸化が上昇することが明らかになった。CRK36遺伝子発現抑制体は水分ストレスおよびABAに感受性を示し、植物体内では多くのABA誘導性遺伝子の発現が上昇していた。以上から、ARCK1は細胞膜上でCRK36と複合体を形成し、水分ストレスシグナル伝達に機能する可能性が示唆された。
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