研究課題
最近問題になっているアルベカシン耐性MRSAの耐性化にはアミノグリコシド修飾酵素が関与しているため、その阻害剤が得られればアルベカシン耐性は克服できると考えられる。そこでアルベカシンと共存しているときにMRSAの阻止円径が大きくなる物質のスクリーニング系を構築し、アルベカシン耐性克服物質を1万以上の微生物培養液よりスクリーニングした。その結果、糸状菌Penicillium sp. FKI-4572株よりペニシリン酸、Penicillium sp. FKI-4685株よりゲオジン、Penicillium citrinum FKI-4815株よりシトリニン、未同定糸状菌FKI-4853株よりメチレノラクトシンを単離、同定した。いずれもアルベカシンの抗MRSA活性を2~8倍増強した。さらに糸状菌Penicillium sp. FKI-4429株より4種の新規物質を単離し、いずれも2-(2,3-ジヒドロキシ-4,6-ジメチルドデシル)グルタル酸がさまざまな形に環化した構造であることを決定した。そのうち最も活性の強い(E)-3-(5-ヒドロキシ-6-((E)-4-メチル-2-デセン-2-イル)-2-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-2-プロペン酸は、16μg/ml(この濃度ではMRSAに対する抗菌活性を示さない)をアルベカシンと併用することで、アルベカシン耐性MRSAに対するアルベカシンのMICを32倍増強する優れたアルベカシン耐性克服活性を示した。今後その作用機構や動物実験における治療効果を検討していく予定である。
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