研究課題
近年問題になっているアルベカシン耐性MRSAはアミノグリコシド修飾酵素が耐性化に関与しているため、その阻害剤が得られれば耐性が克服できると考えられる。そこでアルベカシンと共存しているときにMRSAの阻止円径が大きくなるアッセイ系を利用して、アルベカシン耐性克服物質のスクリーニングを微生物培養液より行った。また初年度に報告した糸状菌Penicillium sp.FKI-4429の生産する新規物質biverlactones A-Dはについては、その作用機構を解明し動物実験を行うため、大量培養、大量取得を行った。作用機構に関してはアルベカシン耐性MRSAのアミノグリコシド修飾酵素(二機能酵素)であるAAC(6')/APH(2")を大腸菌でクローニングして発現させた。それを用いてbiverlactone Aの二機能酵素阻害活性を調べたところ、薬剤耐性への関与がより強いと考えられているリン酸化活性のみを約30μg/mlで50%阻害した。量の確保はできたので今後動物実験を進めていく。また新たなスクリーニングにより既知物質ではあるがtrichosetin、griseophenone C、aranorosin、aranorosinol Aにアルベカシン耐性克服活性を見いだした。そのうち糸状菌Gymnasella sp.FKI-6588の生産するaranorosinは、0.5μg/ml(この濃度ではMRSAに対する抗菌活性を示さない)をアルベカシンと併用することで、アルベカシン耐性MRSAに対するアルベカシンのMICを64倍増強する優れたアルベカシン耐性克服活性を示した。さらにaranorosinは、二機能酵素のリン酸化活性のみを約3μg/mlで50%阻害した。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (20件)
The Journal of Antibiotics
巻: 64 ページ: 139-141
10.1038/ja.2011.123
巻: 64 ページ: 303-307
10.1038/ja.2011.16
Tetrahedron
巻: 67 ページ: 6582-6586
10.1016/j.tet.2011.05.090
巻: 67 ページ: 6633-6643
10.1016/j.tet.2011.05.073
巻: 67 ページ: 6644-6648
10.1016/j.tet.2011.05.061
Mycoscience
巻: 52 ページ: 338-343
10.1007/s10267-011-0114-7
巻: 64 ページ: 769-774
10.1038/ja.2011.91