若齢ラットにシトルリン、クレアチン、オルニチン、タウリン溶液を強制的に経口投与し、単離筋肉切片からの3-メチルヒスチジンの放出速度を測定した。その結果、シトルリンおよびオルニチン投与3時間後に筋原線維タンパク質の分解抑制おこることが認められた。しかし、クレアチン、タウリンにはこのような作用は見られなかった。シトルリンとオルニチンの分解抑制作用はユビキチン-プロテアソーム系の抑制ではないことが、ユビキチン化酵素のAtrogin-1の遺伝子発現プロテアソームの酵素活性から示された。またこのとき、タンパク質翻訳段階の指標となる4E-BP1とS6K1のリン酸化には変化がなかったため、合成には影響を与えないと考えられた。低栄養食として10%カゼイン食を給与しているラットにシトルリン溶液を7日間毎日1回投与したところ、筋原線維タンパク質の分解抑制傾向が示された。このような作用は尾部懸垂モデルラットにおいても認められた。10週齢のラットにシトルリン溶液を単回強制投与したところ、若齢とは異なり筋原線維タンパク質の分解速度は抑制されなかった。合成速度はシトルリンにより増加する傾向が認められ、4E-BP1のリン酸化も促進されていた。以上から、シトルリンとオルニチンには、若齢ラットでは骨格筋(筋原線維)タンパク質の分解を抑制し、成熟ラットでは合成を促進する作用があることが明らかになり、ロイシンと同様に低栄養状態において筋萎縮を防止できる可能性が示唆された。
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