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2009 年度 実績報告書

食餌因子によるホモシステイン代謝の調節機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21580137
研究機関静岡大学

研究代表者

杉山 公男  静岡大学, 農学部, 教授 (00126781)

キーワードホモシステイン / 動脈効果 / 含硫アミノ酸 / 葉酸 / コリン / 栄養学
研究概要

血漿ホモシステイン(Hcy)濃度は動脈硬化の危険因子として知られている。本研究は食餌因子によりHcy代謝がどのような機構で影響を受けるのかを明らかにしようとしたものである。21年度の研究成果の概要は下記の通りである。
(1)葉酸欠乏に起因する高Hcy血症に及ぼすベタイン投与の影響ならびにコリン欠乏に起因する高Hcy血症に及ぼす葉酸投与の影響をラットを用いて検討した。葉酸欠乏およびコリン欠乏で明確な高Hcy血症が惹起されたが、これらの高Hcy血症に対するベタインあるいは葉酸投与の抑制効果は部分的であった。再メチル化によるHcyの代謝には葉酸関与とベタイン関与の2つの経路があるが、得られた結果はHcyの円滑な代謝には両経路が必要であることを示すもので、片方の経路が他の経路を十分には代替できないことを示唆している。
(2)コリンもビタミン様化合物である。Met含量の低い食餌からコリンを除去すると容易に高Hcy血症が惹起することを我々は見いだしている。コリンはMetからもメチル化経路で生成するので、Metを多く含む高タンパク質食からコリンを除いてもコリン欠乏に起因する脂肪肝や高Hcy血症は起こらない。血漿Hcy濃度に及ぼす食餌コリンとMetとの関係を明らかにするため、コリン欠乏による高Hcy血症に及ぼすMet投与の影響を検討した。食餌への0.2~0.3%程度のMet添加は血漿Hcy濃度を効果的に抑制したが、0.5%以上のMet添加は高Hcy血症を抑制しなかった。一方、0.5%Metと一緒に2.5%Serを添加すると高Hcy血症は顕著に抑制された。これらの結果は、少量のMetはコリン欠乏に起因する高Hcy血症を抑制しうること、また、比較的高レベルのMetでもSerが十分に存在すれば高Hcy血症抑制効果を有することを示している。
これらの結果は、血漿Hcy濃度の制御に関する新たな知見であり、価値あるものと考えられる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] High casein diet decreases plasma homocysteine concentration in rats2009

    • 著者名/発表者名
      K.Ohuichi, Y.Matsumoto, T.Morita, K.Sugiyama
    • 雑誌名

      Journal of Nutritional Science and Vitaminology 55

      ページ: 22-30

    • 査読あり
  • [学会発表] タンパク質およびアミノ酸摂取量とラット肝臓CBS活性との関係2009

    • 著者名/発表者名
      大内誠也, 森誠, 高坂哲也, 杉山公男
    • 学会等名
      日本栄養・食糧学会
    • 発表場所
      長崎ブリックホール
    • 年月日
      2009-05-21
  • [学会発表] べたイン欠乏を伴う高ホモシステイン血症に及ぼす食餌へのメチオニンとセリン添加の影響2009

    • 著者名/発表者名
      劉軟群, 大内誠也, 杉山公男
    • 学会等名
      日本栄養・食糧学会
    • 発表場所
      長崎ブリックホール
    • 年月日
      2009-05-21
  • [学会発表] 血漿ホモシステイン濃度に及ぼす食餌タンパク質の種類と量の影響2009

    • 著者名/発表者名
      呉育如, 姚暁萍, 大内誠也, 杉山公男
    • 学会等名
      日本栄養・食糧学会
    • 発表場所
      長崎ブリックホール
    • 年月日
      2009-05-21
  • [学会発表] 食事因子による含硫アミノ酸代謝の制御に関する研究2009

    • 著者名/発表者名
      杉山公男
    • 学会等名
      日本栄養・食糧
    • 発表場所
      長崎ブリックホール
    • 年月日
      2009-05-20

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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