脂肪肝発症が酸化コレステロール摂取にかかわり、それが摂取脂肪酸により修飾を受ける現象が観察されたので、この結果を基に、本研究では以下の三つの問題を主に答えることにした、(1)酸化コレステロールには脂肪肝発症に明らかに関わっている分子種が存在するのか?(2)酸化ステロール誘導性脂肪肝発症にかかわる特定の脂肪酸およびバランスは存在するのか?である。さらに(3)脂肪肝を発症させる酸化コレステロールと食事脂肪の組み合わせが明確になった場合に、脂肪肝発症を抑制する食品成分を探索し、酸化コレステロール誘導性脂肪肝の改善食の開発も目指す。なお、(1)及び(2)は培養細胞に脂肪酸合成酵素の上流域のLXR応答配列を導入し、検査系を確立した。まず、LXRはグルコースをレセプターとする報告があるために、培地中のグルコース濃度を検討し、より生理的に近い値を選択した。添加した酸化コレステロールによる応答はグルコース濃度により変化することがわかった。脂肪肝を発症した肝臓での14種類ある酸化コレステロールの各分子の濃度から考察して、酸化コレステロール中で活性分子候補を2分子にまで絞り込んだ。さらに、脂肪肝肝臓の酸化コレステロール分布を模倣した酸化コレスステロール混合物を検討した結果、アポトーシスを誘導し、細胞死を招いた。今後はこの実験系では、酸化コレステロールを生理的な輸送単体である、リポタンパク質組み込んで、細胞の添加実験を行うこととし、現在検討中である。
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