研究概要 |
酸化コレステロールが肝細胞の脂肪蓄積に及ぼす影響が実際に表現型として確認できるかについての検討を行った。ラット肝臓中に蓄積した4β-hydroxycholesterolおよび7α-hydroxy-cholestero1がLXRリガンドとして機能し、肝臓におけるSREBP-1c,FAS転写活性を増加することで肝臓の脂質合成を促進し、脂肪肝を惹起した可能性が強く示唆された。しかし、この実験結果は上記2種類の酸化コレステロール分子種があくまでSREBP-1c,FAS転写活性のみを増加したことを示唆したものであり、その先のプロセスである遺伝子発現量・タンパク質発現量ないしは酵素活性の増加にまで影響を与えるとは断言できない。また、OCによるSREBP-1c,FAS転写活性の増加がどの程度肝臓の脂質合成に影響を与えるかについても不透明なままである。そこで、4β-hydroxy-cholesterolおよび7α-hydroxycholesterol以外が培養肝細胞のFASの遺伝子発現に及ぼす影響について検討することにした。いくつかの酸化コレステロールが、LXRのアンタゴニスト活性を示し、脂肪蓄積を抑制することが明らかとなった。また、脂肪組織においてもその活性を示すことも明らかとなり、肝臓のみではなく脂肪組織での脂肪合成も抑制することを明らかにした。したがって、LXRを介した組織の脂肪蓄積において、アゴニストおよびアンタゴニストバランスが酸化コレステロールの細胞内存在として意義づけられた。
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