研究概要 |
ヒトが加齢に伴って増加する蠕動運動低下による便秘ならびに高脂血症の原因の一つとして,「肝臓におけるパントテン酸からCoAへの生合成能力の低下がある」という申請者の仮説を,まずラットを用いて証明する.さらに老齢ラットではパントテン酸ではなく,パンテテインの方がCoA前駆体として,より有効であることを示す. 成果は,ヒト高齢者における蠕動運動低下改善と高脂血症改善に対して,「パントテン酸の投与では効果が低いが,パンテテインの投与では効果が高い」という仮説を証明するための介入試験の先行実験となることである. 平成21年度は3年計画の1年目である.本年度はパンテテインアデニリルトランスフェラーゼ活性の測定方法を確立するために,CoAとデポスホ-CoAを,HPLCを用いて測定する方法の確立を行い,さらにパンテテインアデニリルトランスフェラーゼという仮想酵素が存在するか否かを検討した.その結果,CoAとデポスホCoAのHPLCを用いる実用的な測定方法を開発することができ,この方法を駆使して,パンテテインアデニリルトランスフェラーゼ活性の検索を行ったところ,まちがいなく本酵素活性の存在を確認できた.このことにより,パンテテインから2ステップでCoAが生合成できることが明らかとなり,計画通り順調に実験を進めることができた.
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