研究課題/領域番号 |
21580150
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
山下 広美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (70254563)
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研究分担者 |
木本 眞順美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40108866)
高橋 吉孝 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10236333)
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キーワード | 脂肪代謝 / メタボリックシンドローム / 酢酸 / 肥満 / AMPK / 血管内皮細胞 / eNOS / マクロファージ |
研究概要 |
昨年までの研究で、肥満と2型糖尿病を発症する病態動物に酢酸を摂取させると、体脂肪蓄積の抑制、肥満ならびに脂肪肝を抑制し、2型糖尿病を改善することを示してきた。経口的に摂取した酢酸は組織内でAMPKを活性化して、糖・脂質代謝を制御することを示した。最近、血管内皮細胞における動脈硬化抑制因子として知られるeNOSの活性化にAMPKが関与することが報告されている。血管内皮細胞においても酢酸の代謝と共にAMPが増加し、AMPKを活性化すれば、酢酸は動脈硬化に対して抑制的に作用する可能性がある。本年度の研究では、正常ヒト血管内皮細胞(HUVEC)を用いて、酢酸による動脈硬化性疾患の予防の可能性について検討した。HUVECをHuMediaEG2培地により60-80%コンフルエントになるまで培養し3継代目で酢酸の影響について解析した。HUVECにおける酢酸の吸収速度を測定すると、酢酸処理後10秒後に最大速度で吸収されその後の吸収速度は急激に低下していた。酢酸の代謝過程におけるAMP/ATP比の変化を解析すると30分後から有意に上昇した。またリン酸化AMPKレベルは2分後に有意に増加した。リン酸化eNOSも2分後に有意に増加した。リン酸化Aktには変化がなかった。これより血管内皮細胞においても酢酸はAMPKを活性化しeNOSの活性化を介して動脈硬化抑制に作用すると示唆された。一方、培養マクロファージRAW264.7細胞を用いて、酢酸による抗炎症効果を検討した結果、酢酸はLPSで増加した炎症性サイトカインの発現を抑制する傾向があった。
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