1. ラクトフェリン結合タンパク質を、Superdex 200pgカラムおよびTSKgel G2000SWカラムによるゲルろ過、ヘパリンSepharose CL-6Bおよびモノクローナル抗ラクトフェリン抗体固定化担体を用いたアフィニティークロマトグラフィーで、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼおよびアンジオジェニンの3画分に分離した。また、低分子量画分をターゲットに、分画分子量20kDaの限外ろ過膜で分子量20kDa以下の低分子ペプチドを分取し、イオン交換カラムTSKgel SP-5PWでさらに分画した。 2. 自己免疫疾患モデルマウスの脾臓細胞を用いて、上記のように分離精製した画分のサイトカイン産生促進作用を比較した。IL-6、IL-10、IL-17およびIFN-γの産生量をELISAで測定したところ、ラクトパーオキシダーゼにIL-10産生促進作用が確認された。ラクトフェリンには抗炎症作用が報告されているが、今回の分離操作で精製したラクトフェリンには、IL-10産生促進作用はみられなかった。したがって、ラクトフェリンの抗炎症作用は、ラクトフェリンに結合しているラクトパーオキシダーゼの活性発現に起因する可能性が示唆された。 3. BALB/c系マウスの脾臓細胞および脾臓由来CD4^+T細胞を、ConAあるいは抗CD3抗体+抗CD28抗体とともに、ラクトパーオキシダーゼを添加して培養し、培養液中のIL-10量を測定したところ、ConA存在下でラクトパーオキシダーゼのIL-10産生促進作用が確認された。抗CD3抗体+抗CD28抗体の存在下では、IL-10産生は促進されなかったことから、ラクトパーオキシダーゼの作用には、T細胞以外の細胞による刺激の関与が示唆された。
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