研究課題
高齢者人口の増加に伴い骨粗鬆症は重要な疾患となり、その予防対策が必須となっている。研究代表者らは、エストロゲン様作用を有する大豆イソフラボンの骨粗鬆症予防効果およびイソフラボンとは異なる作用機序で骨量減少抑制機能を有する柑橘系フラボノイドのヘスペリジンについてもその新規な機能性を解明してきた。しかし、これら2物質は共に疎水性が強く、食品添加物としての利用性には限界がある。そこで、研究代表者は水溶性を付加したイソフラボン及びヘスペリジンに着目し、摂取後の体内動態及び生理作用、特に3種の水溶性フラボノイドの骨量減少抑制機能について、骨粗鬆症の発症機序が異なる3種のモデル動物(卵巣摘出閉経後骨粗鬆症(原発性)モデル(OVX)マウス、マグネシウム(Mg)欠乏ラット及びII型糖尿病(続発性骨粗鬆症)モデルラットを用いて検討することを目的とした。平成22年度は昨年度の糖転移により水溶性を高めたαGイソフラボンと同様、αGヘスペリジンの体内利用率を把握し、骨量減少モデルとしてマグネシウム(Mg)欠乏ラットを用いた。試験群として対照群(Mg正常動物)、Mg欠乏単独群、+Nativeヘスペリジン、+αGヘスペリジン、Positive control(Statin投与)群の計5群に分け、4週間の飼育観察後、骨指標についての評価を行った。更にMg欠乏状態で引き起こされる血清・肝臓脂質量増加に対する影響も確認した。また、大腿骨からRNAを抽出し、DNAマイクロアレイ解析に供した。Mg欠乏により、脂質および骨代謝は変動し、関連遺伝子も生化学値を反映する変動を示した。Nativeヘスペリジン及びαGヘスペリジンはMg欠乏による体内脂質量増加および骨量減少を、Statin同様に抑制した。更に難消化性環状オリゴ糖であるサイクロデキストリン(CD}で包接させ水溶性を高めたヘスペリジンアグリコン(Hes)を若齢II型糖尿病モデルラットに投与したところ、ミネラル吸収促進のみられたCD-Hesの骨量減少抑制効果は認められたが、非包接型のHesでは変化がなかった。次年度は高齢II型糖尿病モデルラットおよびOVXマウスを用いて再度検討を行う。
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