研究概要 |
簡便で誰にでもでき、さらに痛みの少ない栄養状態診断の方法を開発すべく、表皮のタンパク質に着目した。そのために、皮膚のニュートリプロテオミクス法を確立し、マーカーとなりうるタンパク質を見出すことを目的とした。平成21年度は、(1)皮膚タンパク質の抽出法の確立、(2)タンパク質の二次元電気泳動用サンプルの調製法の確立を検討した。 (1)コラーゲン以外の皮膚タンパク質の採取法について検討した。細断した皮膚に7M尿素,2Mチオ尿素,および4%(w/v)CHAPSを含む50mMTris/HCl(pH7.5)を添加し,常温で24時間処理後、上清をClostridium histolyticum由来Collagenaseを0.6U/mlで37℃、24時間で処理することでコラーゲン以外のタンパク質を中心とした二次元電気泳動ができる可能性があった。 (2)二次元電気泳動のサンプルの調製法を検討した。サンプルの10mM Tris(2-Carboxyethyl)-Phosphine Hydrochloride(TCEP)および40mMvinylpyridineでの前処理,等電点電気泳動のゲル膨潤時にジチオスレイトール(DTT)を使用,等電点電気泳動後の還元アルキル化は還元剤としてDTT,アルキル化は行わない方が良いことがわかった。上記方法により,二次元電気泳動のバックグランウンドの低減,ストリーキングの減少,さらにタンパク質のスポットの増加が認められた。 平成21年度の成果により、平成22年度以降に行う栄養状態の異なるラットの皮膚を用いた二次元電気泳動が可能になると考えている。
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