研究概要 |
簡便で誰にでもでき、さらに痛みの少ない栄養状態診断の方法を開発すべく、表皮のタンパク質に着目した。そのために、皮膚のニュートリプロテオミクス法を確立し、マーカーとなりうるタンパク質を見出すことを目的とした。平成21~22年度において確立した表皮タンパク質のプロテオミクス法を用いて、栄養状態により敏感に迅速に変動するタンパク質を同定し、さらにデキサメタゾン投与でも同様に変動するタンパク質を同定し、栄養状態で特異的に変動するタンパク質を確定することを目的とした。その結果、 (1)アミノ酸バランスの良いタンパク質(カゼイン)食、アミノ酸バランスの悪いタンパク質(グルテン)食および無タンパク質食を1週間摂取させたラット背部表皮タンパク質で変動のあったタンパク質を、30種類(カゼイン食とグルテン食で変動のあったタンパク質8種類、カゼイン食と無タンパク質食で変動のあったタンパク質19種類、グルテン食と無タンパク質食で変動のあったタンパク質7種類)見出した。 (2)1週間のデキサメタゾン投与によっても変動したタンパク質は、9種類存在した。 よって、栄養条件の変化のみで変動する表皮タンパク質は21種類存在することがわかった。このうち、3種類についてMALDI-TOF-MSを用いて同定したところ、RAB-related protein Rab-6A,NADH dehy drogenase,α-enolaseだった。特に、Rab-6Aが変動する条件ははじめて認められたものであり、今後生体内での役割を解明する手がかりとなる可能性があった。
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