野菜や果物を多く摂取ることによりがんをはじめとしたいくつかの疾患のリスクが低減する。本研究では、食用植物由来の抗がん作用物質の作用機構を明らかにする目的で、細胞内の様々なストレスを受容して、そのストレスをタンパク質のリン酸化を介した情報へと変換するリン酸化情報ハブタンパク質に着目した。Apoptosis signal-regulating kinase 1(ASK1)はストレス応答キナーゼSAPK/JNKの上流に位置し、ストレス刺激をリン酸化シグナルに変換するMAPKKキナーゼの一種である。ASK1は細胞内ではthiredoxin(Trx)と結合して不活性化されているが、酸化ストレスによりTrxのシステイン残基が酸化されるとTrxがASK1から解離し、活性化する。ガーリック由来の抗がん作用物質diallyl trisulfideは、Trx分子内にジスルフィド結合を形成してASK1から解離させてASK1を活性化し、シグナルソームの形成を介してアポトーシスを誘導することを明らかにした。
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