動脈硬化抑制作用を有する2種類のセロトニン誘導体と、それらの配糖体を含むベニバナ種子残渣の生体内における機能発現機構解明のために、ヒトや実験動物のみならず、培養細胞による種々の検討がなされている。しかし、ベニバナ種子残渣を傾向的に摂取した場合のこれらの成分の消化管からの吸収率や、生体内における分布状態とその量に関する検討は皆無である。私は、セロトニン誘導体の生体内挙動を解明するために種々の検討を実施し、セロトニン誘導体が血中に存在することを明らかにする一方、代謝物が多量に生成することを明らかにしてきた。代謝物の血中濃度は、HPLCのピークエリアから、投与型のセロトニン誘導体の約20倍程度と試算されており、生体内における機能発現に寄与している可能性が高い。平成22年度は、これらの代謝物の構造を解明するために、各種セロトニン誘導体をラットに投与して、尿中および、胆汁中に含まれる同代謝物を各種クロマトグラフィーにより精製し、詳細な構造情報を得ることを目的とした。しかし、分取フラクションの分析結果から、精製が不十分であることが明らかとなり、従来の逆相充填剤では、精製が困難であることが予測されたため、種々の分離充填剤による精製条件の検討を実施した。その結果、目的とする代謝物と生体由来成分との分離が良好な分離充填剤が選定でき、分取を継続している。また、これらの代謝物の質量分析を実施したが、分子イオンおよび、フラグメントイオンの何れについても検出されず、良好なイオン化法を選択する必要が示唆された。
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