初年度は、培養MIN6細胞(マウス由来膵臓ランゲルハンス島β細胞)のインシュリン分泌作用に及ぼす遊離脂肪酸の影響を効率よく検出するための実験条件の確立を実施した。2年目となる本年度は、初年度に確立した実験条件のもと、各種遊離脂肪酸を長時間処理した後の培養MIN6細胞のインシュリン分泌作用の増減を測定評価した。また、同実験条件下にて、各種遊離脂肪酸処理後の細胞内脂肪酸組成の変化を分析した。 各種遊離脂肪酸未処理培養MIN6細胞のインシュリン分泌量と比較して、オレイン酸、リノール酸、もしくはαリノレン酸を72時間処理した培養iMIN6細胞では、不飽和二重結合の数に比例して、オレイン酸、リノール酸、αリノレン酸の順にインシュリン分泌量の増加が認められた。また、細胞内脂肪酸組成の変化に関しては、オレイン酸を72時間処理した培養MIN6細胞ではコントロールとほぼ同等であったのに対し、リノール酸の72時間処理ではコントロールと比較してアラキドン酸が多くなり、αリノレン酸の72時間処理ではエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸が多くなっていた。 これらの結果より、遊離脂肪酸による培養MIN6細胞のインシュリン分泌作用が、細胞内脂肪酸組成の変化に影響を受けることが示唆された。
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