研究課題
3年目の最終年となる本年度は、2年目に出した長時間遊離脂肪酸処理によるインシュリン分泌促進作用の本試験を実施した。また、長時間脂肪酸処理により変化した細胞内脂肪酸組成のうち、リノール酸処理で増加したアラキドン酸と、αリノレン酸処理で増加したエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸によるインシュリン分泌制御作用をあわせて評価した。長時間遊離脂肪酸処理の本試験においては、2年目に実施した予備試験結果と同様に、αリノレン酸(n-3系)で72時間前処理した培養MIN6細胞(マウス由来膵臓ランゲルハンス島β細胞)のインシュリン分泌量が最も多く、次いでリノール酸(n-6系)、オレイン酸(n-9系)の順であった。各種遊離脂肪酸の前処理がなかった場合にはオレイン酸が最もインシュリン分泌量が多く、次いでリノール酸、αリノレン酸の順であり、72時間前処理した場合とは逆の順序でインシュリン分泌促進作用が認められた。一方、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸をそれぞれ72時間前処理したMIN6細胞のインシュリン分泌制御作用は、エイコサペンタエン酸に最も高い促進作用が認められ、アラキドン酸とドコサヘキサエン酸は同等度の促進作用であった。なお、MIN6細胞のユビキチン化タンパク質の検出を試みたが、かつてわれわれが実施したメラノーマ細胞の検出条件では良好な結果が得られなかった。これはユビキチン化タンパク質を検出するために必要なプロテアソーム阻害剤の細胞毒性がメラノーマ細胞とMIN6細胞では異なり、MIN6細胞に大きなダメージを与えることなくユビキチン化タンパク質の分解を阻止することができなかったことによると考えられた。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Journal of Investigative Dermatology
巻: VOL.132 ページ: 1222-1229
DOI:10.1038/jid.2011.413
Journal of Dermatological Science
巻: VOL.63 ページ: 115-121
DOI:10.1016/j.jdermsci.2011.04.002