研究課題/領域番号 |
21580167
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
石川 祐子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, ユニット長 (40353940)
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研究分担者 |
後藤 真生 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (30302590)
八巻 幸二 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, ユニット長 (70174597)
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キーワード | アレルギー / 経口免疫寛容 / 感作 / IgE |
研究概要 |
<研究の目的>アレルギー炎症の発症機序は最近の免疫学研究によって明らかになりつつあるが、同じ環境にありながら発症に個人差が生じるなど、ヒトのアレルギー感作機序については未だに解明されていない部分が多い。そこで、アレルギー感作には接触するアレルゲンの濃度よりも頻度やタイミングなどの感作パターンが支配的であるという作業仮説を立て、その検証を行った。<方法>卵白アルブミン(OVA)特異的T細胞レセプタートランスジェニックマウスDO11.10に断続的にOVAを経口投与して感作させた後、OVAの皮内注射により皮膚アナフィラキシー応答を惹起するアレルギーモデル系を作成した。この系はアレルゲンの経口投与のみでアレルギー感作が可能であるため、アレルゲンの体内滞留時間を制御可能である。この系を用い、総投与アレルゲン量は一定で投与タイミングのみを変化させることで誘導される免疫応答を血清中特異抗体価、免疫細胞の抗原特異応答を指標として比較検討した。<結果>OVA断続感作群ではIgEなど血清中の各種抗体価が上昇し、皮膚アナフィラキシーを誘導できたが、連続投与群では血清抗体価はほとんど上昇せず、皮膚症状も誘導できなかった。OVAの投与濃度を変動させても同様であった。その理由として、抗原の連続経口投与により経口免疫寛容が誘導され、血清中抗体が産生されなかった可能性が考えられたが、連続投与でも免疫細胞の抗原特異応答は抑制されていなかった。さらに抗原の連続投与後に非投与期間を設けた後、再投与すると血清抗体価は上昇したことから、この抗原の連続投与では経口免疫寛容は誘導されていないことが確認された。抗原感作が中断されることなく継続すると血清中抗体が誘導されない、つまりアレルギー状態の成立にはアレルゲンの断続的な感作が必要であることが強く示唆された。この事実は、現在のアレルギーの予防・治療法のありかたを変える可能性がある。
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