研究課題/領域番号 |
21580170
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渡邊 陽子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 学術研究員 (30532452)
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研究分担者 |
松木 佐和子 岩手大学, 農学部, 講師 (40443981)
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キーワード | 落葉広葉樹 / 高CO2濃度 / 開放系大気CO2増加装置(FACE) / 虫害 / 被食防衛能 / 針広混交林 / ブナ / ウダイカンバ |
研究概要 |
平成21年度は、1.開放系大気CO_2増加(FACE)装置で生育させたブナ幼樹のフェノロジー観察および試料採取、2.環境調節室における落葉広葉樹の高CO_2付加実験による被食衛能の変化、3.北道央部のウダイカンバ林における食葉性昆虫による食害調査およびサンプリング、を行った。 1.開放系大気CO_2増加(FACE)装置で生育させたブナ幼樹のフェノロジー観察および試料採取 4月末の開葉時期から10月の落葉時期まで、ブナのフェノロジーを観察するとともに、食葉性昆虫のセンサスおよびブナの葉の試料採取を行った。ブナの葉を食害する食葉性昆虫のフェノロジーは、ブナの葉のフェノロジーと対応していることが明らかとなった。また高CO_2濃度環境はブナおよび食葉性昆虫のフェノロジーに影響しなかった。今後、各時期にサンプリングした葉の被食防衛能について分析を行う予定である。 2.環境調節室における落葉広葉樹の高CO_2付加実験 森林総合研究所北海道支所の環境調節室を利用して、高CO_2濃度環境下で落葉広葉樹(ブナ、ミズナラ、ホオノキ)の稚樹を生育し、個葉の被食防衛能の変化を調べた。その結果、高CO_2濃度環境下では、ブナ個葉に含まれる被食防衛物質(総フェノールおよび縮合タンニン)は増加したが、ミズナラでは総フェノール量のみ有意に増加した。一方、ホオノキはどちらも変化しなかった。また、葉内の局在は高CO_2濃度により変化しなかった。したがって、本実験から、高CO_2濃度環境下で落葉広葉樹の被食防衛能は変化する可能性が示唆されたが、その応答は樹種間差があると考えられる。 3.北海道央部のウダイカンバ林における食葉性昆虫による食害調査およびサンプリング北海道央部のウダイカンバ林の食葉性昆虫の食害について調査するとともに、葉のサンプリングを行った。今後、被食防衛能について分析する予定である。
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