研究課題/領域番号 |
21580173
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
上條 隆志 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (10301079)
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研究分担者 |
田村 憲司 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (70211373)
鞠子 茂 法政大学, 社会学部, 教授 (10251018)
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キーワード | 陸上生態系 / 炭素蓄積 / 火山 / 遷移 / 三宅島 / 土壌 / 裸地 / 伊豆諸島 |
研究概要 |
伊豆諸島三宅島は2000年に大噴火した。本研究は、噴火により生態系が破壊された場所において、植生と土壌がどのように発達し、生態系の骨格を形成する炭素が蓄積してゆくかについて、明らかにすることを目的とした。中心とした調査対象地では2000年噴火直後には無植生化したが、2010年現在は、火口からの距離に応じた発達段階の差がみられる。平成19年から継続して植生調査を行っている3ヶ所の固定調査区において、植生調査と毎木調査を行った結果、最も植生発達が悪い山頂付近の調査区においても、ハチジョウススキ、キリシマノガリヤス、シマタヌキランなどが増加しているのが確認された。調査開始時点でハチジョウススキが優占していた残りの2地点においては、窒素固定植物であるオオバヤシャブシが増加した。同一の調査区において、土壌呼吸の測定、土壌微生物の分析のための試料採取、土壌動物であるミミズの調査、リターバック法によるリターの分解速度の測定を行った。土壌動物であるミミズの量、リターバックによる分解速度は、上述の植生の発達傾度と対応しており、植生発達と炭素蓄積量増加に伴い土壌の分解系が発達すると考えられた。土壌呼吸と土壌微生物については、現在分析中である。噴火跡地に侵入するハチジョウススキによる土壌生成作用を空間的に明らかにするために、土壌断面調査と土壌資料の採取と分析を行った。その他、9年間継続モニタリングしている噴火被害林において、毎木調査と植生調査を行った。前述の調査区に比べ被害が軽度であったこれらの調査区では、ヒサカキが量的に多く、今後、増加するものと考えられた。以上の調査を継続してモニタリングできるように、調査ルートの整備等を行った。
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