研究課題/領域番号 |
21580173
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
上條 隆志 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (10301079)
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研究分担者 |
田村 憲司 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (70211373)
鞠子 茂 法政大学, 社会学部, 教授 (10251018)
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キーワード | 陸上生態系 / 炭素蓄積 / 火山 / 遷移 / 三宅島 / 土壌 / 裸地 / 伊豆諸島 |
研究概要 |
本研究は、噴火により形成された火山灰堆積地において、植生と土壌の発達様式を炭素蓄積量の面から明らかにすることを目的とした。三宅島の2000年噴火直後には火山灰堆積により無植生化した地域を調査対象とした。2008年から継続調査を行っている3ケ所の固定調査区(IG1、IG2、IG3)において、植生調査、毎木調査、土壌調査、土壌呼吸測定、現存量調査、リター分解速度の測定を行った。噴火後11年経過時点での地上部現存量は、126g/m^2(IGI)、5530g/m^2(IG2)、7388g/m^2(IG3)であり、そのうちの77.7~89.7%をハチジョウススキが占めていた。土壌炭素量は、0-5cmと5-10cmの合計で、212g/m^2(IG1)、814g/m^2(IG2)、1047g/m^2(IG3)であり、各調査区とも表層ほど土壌炭素量が多くなった。各調査区における3年間の炭素集積速度は、地上部は12g/m^2(IG1)、714g/m^2(IG2)、775g/m^2(IG3)であり、土壌部は-14g/m^2(IGI)、108g/m^2(IG2)、118g/m^2(IG3)であった。この結果から、遷移初期の炭素蓄積は土壌を植生が上回ることが明らかとなった。また、リター蓄積量は73g/m^2(IG1)、2170g/m^2(IG2)、2133g/m^2(IG3)であった。リターの分解速度は、オオバヤシャブシが0.009(IG1)、0.007(IG2)、0.020(IG3)であり、ハチジョウススキが0.001(IG1)、0.005(IG2)、0.012(IG3)であった(但し、単位は全て%/day)。植生の発達した調査区ほど分解速度が大きくなる傾向がみられた。以上のことから、分解系の発達に伴うリター蓄積量増加の抑制が考えられた。
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