研究概要 |
新潟県佐渡市においてミズナラが優占する二次林内に設置した4箇所のプロットにおける5年間の動態を解析した。各プロットに隣接する林内から5本ずつ合計20本,さらに斜面の上部,下部にある2つのプロットに隣接する林内から追加で5本ずつ合計10本の標準木を選択して伐倒した。30本の標準木を伐採し,各標準木の乾燥重量を求めた。追加した10本の標準木については,さらに根系の乾燥重量も求めた。標準木のデータを用いて,幹材積,各器官(幹と枝,葉,根)の乾燥重量と胸高直径,樹高との回帰式を非線形回帰によって求めた。最後に,各プロットの立木密度,断面積合計,材積および現存量の差を求めた。上層木の樹齢は70年程度であった。胸高直径と5年間の胸高直径成長量との間には,胸高直径が増加するにしたがって胸高直径成長量が増加する傾向が見られた。5年間の変化を見ると,いずれのプロットでも枯損のため立木本数が減少した。断面積合計は4プロット全体では変化がなかった。林分材積、現存量は4プロット平均でごくわずかだけ増加した。対象地の林分では残存立木は成長を続けているものの,枯損量が大きかったため,林分全体ではほとんど成長していなかった。そのため,このままこの林分を放置した場合,二酸化炭素吸収機能はほとんど見込めないといえる。しかし,大きな立木ほど大きな成長を続けているため,もし下層間伐を行えば,間伐後の林分の成長は期待できる。
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