相対成長式を用いて立木のバイオマスや炭素蓄積を推定する際、バイオマスデータから相対成長式のパラメータを正確に推定することが重要である。そこで、比較的少数の立木データから相対成長式のパラメータを推定する場合の、線形回帰と非線形回帰の利用について比較、検討した。対象はミズナラが優占する落葉樹二次林から採取したミズナラのバイオマスとした。二次林内に設置した4つの区画の外側から試料木を採取し、バイオマスを測定した。バイオマスの推定によく用いられる3つの相対成長式を立木の各部分に当てはめた。その際、(1)測定値に重みを付けない非線形回帰、(2)測定値の幕乗として表される重みを測定値に付ける一般化非線形回帰、(3)測定値の対数に対数変換された式を当てはめる線形回帰、の3種類の最小二乗法を適用し、予測値の精度と偏りを求めて誤差を比較した。その結果、ほとんどの場合に関して回帰法(1)と回帰法(3)より回帰法(2)の方法のほうが若干小さい誤差を示した。枝バイオマスと葉バイオマスはいずれも回帰式の周りの変動が大きかったが、回帰法(2)の重みと測定値の関係を表す幕乗式の幕の値が異なっていた。枝バイオマスの場合のように幕の値が大きい場合、回帰法(3)が回帰法(2)より若干誤差が小さくなった。また、最も適合度の良かった相対成長式を4区画の立木データに適用して林分バイオマスを推定し、回帰法の間の比較を行った。その結果、幹バイオマスの場合には回帰法間の違いはわずかしかなかったが、枝バイオマスや葉バイオマスの場合には回帰法によって林分バイオマスめ推定値に大きな違いが出る可能性があることが示された。.
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