土砂流出抑制を目的として砂防ダムおよび低ダム群が設置されている渓流を対象に、陸域から渓流水中に供給されるリターの分解が、渓流水質に及ぼす影響を砂防施設立地環境の違いに関連づけて考察した。渓流ではリター堆積を支配する諸要因(砂防施設立地環境、リター滞留時間、底質、水生昆虫の生息環境など)を満たす地点においてリターの堆積と分解が進行し、その分解の過程で溶存酸素の消費が進む可能性が高いこと、リターの初期分解過程である溶出段階において放出されるK+、Mg2+、Ca2+が渓流生態系における重要な供給であり、渓流水中のイオン組成を規定する重要な因子となる。
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