研究課題/領域番号 |
21580200
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
土居 修一 筑波大学, 生命環境系, 教授 (20279508)
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研究分担者 |
中川 明子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (30323249)
吉村 剛 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (40230809)
堀沢 栄 高知工科大学, 工学部, 准教授 (20368856)
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キーワード | シロアリ / 木材 / 腐朽 / 摂食忌避 / 抽出物 |
研究概要 |
Fibroporia radiculosaで腐朽したアカマツ辺材での、シロアリの摂食忌避を生じさせる物質の一つとしてシュウ酸が推定された。この推定に基づき、シュウ酸を所定量含浸させたアカマツ木片に対して腐朽材と同様の摂食忌避が再現されるか検討した。忌避行動を起こさせるためには1500~3000ppmのシュウ酸濃度でなければならず、これ以下の濃度では忌避効果がないことが明らかとなった。しかしながら、腐朽材では、シュウ酸含有量がこれ以下であっても摂食忌避効果があることが観察されるうえ、腐朽材を加熱乾燥してもシュウ酸の減少はわずかであるので、これ以外に乾燥によって揮発あるいは変質する物質が関与していることが明らかとなった。 そこで、腐朽材からノルマルヘキサン抽出物を得て、これをろ紙にしみこませて強制摂食試験を実施した。その結果、腐朽材に含まれていた抽出物相当量を添加した場合、明白な摂食忌避効果を示した。 さらに、この抽出物をペーパークロマトグラフィーで分画して行った摂食試験の結果、活性部位はRf値のもっとも大きいところに位置しており、また、UV吸収を持つ黄色の物質であることがあきらかとなった。 以上の結果から、こうした物質の揮発性を抑えてシロアリ忌避剤として使える可能性が示唆された。物質の化学構造の同定と成果の活用に関しては今後の研究に託されることとなる。
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