木材は数μm径の細管から成る細胞構造を持つ。反応場をマイクロサイズにすると、化学反応そのものに本質的な影響を与え、マクロで実現しない反応でも効率よく展開されることが知られている。本研究では、木材の天然の細胞構造を微小反応装置として機能させることで、木材自身が熱分解して放出する微量なガスを原料とした気相成長により、円錐黒鉛ウイスカを作製し、さらに炭化後も保持される木材由来の細胞構造を、微小反応装置として再度活用して機能材料化に用いた。これにより、円錐黒鉛ウイスカの硫酸インターカレーション、膨張化など、木材細胞骨格を利用した新しい加工可能性を拓いた。
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