1.再生紙中の劣化の進んだ低質古紙パルプ配合率の測定方法の開発 所定量の蛍光増白剤を添加した広葉樹漂白クラフトパルプ手すき紙に古紙処理を施して調製した古紙パルプの所定量をバージンパルプに配合して作製したモデル再生手すき紙を用いて、蛍光顕微鏡を用いた蛍光観察測定を行い、古紙パルプ配合率を算出し、測定法の精度を検証した。また、蛍光顕微鏡観察を用いた測定を行うにあたり、画像解析法を検討するとともに、簡便な測定法として目視法を提案し、その有効性を検討した。蛍光顕微鏡を用いた画像解析法により再生紙モデル試料の古紙パルプ配合率を評価したところ、実際の古紙パルプ配合率とよく一致した。古紙パルプ中に残留する蛍光増白剤が低レベルにある場合、目視法による蛍光観察試験が古紙パルプ配合率の評価に有効であることが実証された。古紙パルプ中に残留する蛍光増白剤が高レベルにある場合、古紙パルプ配合率の低い試料に限り、目視法による蛍光観察試験が古紙パルプ配合率の評価に有効であった。 2.低質古紙を原料とする炭化物及び活性炭製造法 クラフト古紙から活性炭を製造する条件を設定し、製造した活性炭と市販活性炭3種を用いてビスフェノールA(BPA)吸着測定を行った。活性炭に吸着させるBPAの初期濃度を高濃度領域(100mg/l)、低濃度領域(500μg/l)、極低濃度領域(0.1μg/l)と設定し、それぞれ吸着能力を測定した。低濃度領域及び極低濃度領域の吸着量測定には、酵素免疫定量法を採用した。クラフト古紙活性炭は、測定したすべての濃度領域で市販の水処理用活性炭と同等の吸着力を発揮した。特に、低濃度領域における接触初期の吸着能力が優れていた。
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