1.酵素免疫定量法による内分泌撹乱化学物質の吸着性評価 クラフト古紙を原料とした活性炭を製造し、吸着剤としての応用を考え、ビスフェノールA(BPA)に対する吸着性能について検討を行った。活性炭に吸着させるBPAの初期濃度を高濃度領域(100mg/1)、低濃度領域(500μg/1)、極低濃度領域(0.1μg/1)と設定し、それぞれ吸着能力を測定した。低濃度領域及び極低濃度領域の吸着量測定には、抗原抗体反応を応用した生物学的検定法である酵素免疫定量法を採用した。クラフト古紙活性炭は、測定したすべての濃度領域で市販の水処理用活性炭と同等の吸着力を発揮した。特に、低濃度領域における接触初期の吸着能力が優れていた。通常の河川等におけるビスフェノールAに匹敵する0.1μg/L以下の極低濃度領域では、ヤシ殻活性炭や試薬活性炭に比べてクラフト古紙活性炭及び水処理用活性炭が高い吸着力を示した。 2.共焦点レーザー顕微鏡を用いた再生紙中の古紙パルプ配合率の測定方法の開発 環境対応製品としての再生紙の需要が増加する中で、環境対応製品の信頼性確保のために再生紙中の古紙パルプ配合率の評価が求められる。紙試料を破壊しないでパルプ繊維に付着した蛍光染料を指標に古紙パルプ配合率を測定することを目的として、顕微デジタルカメラシステムを用いた共焦点レーザー顕微鏡による簡便な測定方法を開発し、平成21年度に開発した蛍光顕微鏡及び C染色液を用いた染色法による古紙パルプ配合率の測定方法と比較した。その結果、古紙パルプ配合率は、撮影した画像から得られた平均蛍光強度と高い相関があることを明らかにした。 3.劣化の進んだ低質古紙含有紙の新規強化処理の検討 劣化の進んだ低質古紙を含有する紙の強度を改善するために、ペーパースプリット法など紙の強化処理の検討を行った結果、薄い繊維層を貼付するフリース法が有効であることを新たに見出した。
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