研究課題
本研究は、貝類増養殖事業を行っている海域を中心に、有用貝類の貝殻に穿孔する多毛類の種、生活史、生態に関する知見を得、人為的な増養殖を通して多毛類がどのように世界を移動しているかを捉え、人為的移動についてグローバルな視点で包括的に探ることを目的としている。今年度は、国内(宮城、大島、東京湾等)と海外(オーストラリア、南アフリカ等)の貝類(天然と増養殖)の貝殻を以下の要領で調べ、穿孔性多毛類の有無、侵蝕状況、穿孔種の同定、過去に報告されている種との比較等を行った。(1) 貝類の貝殻を観察し、多毛類による侵蝕状況を調べた。その後、ペンチ等で破砕し、穿孔している多毛類 Polydorids を摘出し、生体で観察後、10%中性ホルマリンで固定し実体顕微鏡、生物顕微鏡下で種を同定した。(2) 体サイズ計測、生殖簿細胞の有無やサイズ計測、卵嚢の有無やサイズ計測、卵嚢の飼育と卵嚢内の発生の観察、幼若個体の観察を行い、多毛類の種の貝殻への定着期、産卵期、消滅期、発生様式、成長、寿命などの生活史、及び個体群動態を追跡した。その結果、今まで種の混乱が生じていたオーストラリア、南アフリカ、そして日本の穿孔性多毛類の種が明らかになり、また水産業上、問題となる共通の種も見つかった。それらの種の生物・生態学的知見も得た。また、7~8月には、シドニー(オーストラリア)で開催された外来生物のワークショップと第11回国際多毛類学会議に参加し、世界的に防除・駆除が必要な種の啓もうと、人為的活動により攪乱される生態系について発表・議論した。多数の多毛類研究者、外来生物研究者と最新の情報を交換し、本研究のまとめに役立った。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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