近年、沖合底引き網漁業で投棄魚扱いされていた魚種が、地域的な有用水産資源として注目されてきている。アオメエソ属魚類(Chlorophthalmus spp.)、通称メヒカリはその代表的存在である。しかし、メヒカリ類をはじめとした小型底魚類は、その生態はおろか、種レベルの分類まで十分に整理・解明されていないのが現状である。そこで本研究では、メヒカリ類の生活史の解明を目的として、分類、生態、生活史に関する研究を実施する。 初年度である平成21年度は、まず混乱の著しいアオメエソ属魚類の分類、特にアオメエソ(C.albatrossis)とマルアオメエソ(C.borealis)の分類の整理に着手した。その結果、アオメエソとマルアオメエソが同種であることが判明した。メヒカリ類の生活史を解明する上で不可欠である仔稚魚の分類学的研究にも着手した。その結果、日本周辺海域で採集された本属仔稚魚が、3タイプに分類されることが判明した。現在仔稚魚の分類学的研究を継続中である。 来年度以降本格的に実施する、駿河湾内におけるアオメエソの生態に関する研究を行う上で、底引き網漁船を用いた採集調査は不可欠である。そのための漁業者との調整と予備調査を実施した。天候不中のため、予定の半分程度の採集調査しか行えなかった。研究費の一部、30万円を、平成22年度へと繰り越し、採集調査の旅費に充当することとした。 世界で初めてマルアオメエソを飼育展示しているふくしま海洋科学館(アクアマリン福島)と、マルアオメエソの発光に関する共同研究の予備実験も実施した。
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