研究課題/領域番号 |
21580222
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
石丸 隆 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (90114371)
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研究分担者 |
堀本 奈穂 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教 (90345405)
小池 一彦 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (30265722)
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キーワード | 海産珪藻 / Skeletonema属 / 東京湾 / 相模湾 / 形態観察 / LSU rDNA解析 / 分類学 |
研究概要 |
東京湾に出現する珪藻のうち、Skeletonema属は赤潮を形成し、植物プランクトン群集のなかでしばしば最優占種となることが知られている。近年、本属については電子顕微鏡と遺伝子解析を組み合わせた分類の再検討が行われ、従来S.costatumtoされてきた種の中に11種が存在することが明らかにされ、また世界中におけるそれぞれの種の分布が報告されている(Kooistra et al, 2007)。そこで申請者らは、東京湾および相模湾にSkeletonema属珪藻が何種類出現するかを明らかにし、また、それぞれの種の季節変化や、年変化を明らかにすることを目的として調査を行った。まず、2008年11月から2009年9月の間に本学練習船「青鷹丸」および「ひよどり」により、表面海水を採取して培養株116株を作成して出現種を調査した。光学・電子顕微鏡を用いた形態観察により、S.dohrnii、S.japonicum、S.tropicumの3種を同定し、LSU rDNAを用いた塩基配列の解析からもこれらを支持する結果を得た。なお、形態観察によって既知の種の形質特徴を持たない種が1種見つかったが、遺伝系統的にはS.dohrniiと同じグレードに含まれ塩基配列による違いが見出せなかった。次に、Skeletonema属珪藻の時空間分布を把握するために、2008年1~12月にかけて東京湾羽田沖の定点で毎月調査を行った。その結果、出現したSkeletonema属珪藻は、前述の同定種を反映した3種となった。また細胞数の調査結果より、S.dohrniiは、8、10、11月を除くほぼ周年にわたり出現してSkeletonema属内における最優占種となった。一方、S.japonicumは冬季に出現する傾向がみられ、S.tropicumは黒潮などの外洋水の流入に出現する可能性が示唆された。
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