研究概要 |
本年度は,ボウズガレイの基本的生物学的特性を把握することが,今後のこの研究の展開にとって最も重要との考えの元に,以下の項目について研究を実施した. 1) 成魚・未成魚の形態並びに計測形質の測定 平成21年11月初めよりマレーシアボルネオ島コタキナバル市魚市場に水揚げされるボウズガレイを4日に一度の頻度で10尾を目途に購入し,体長・体重・体高・体厚・生殖腺重量・肝臓重量・眼位の左右性・胃内容物・雌雄判別などの計測・観察を22年10月末を目途に継続している.その結果,左右性はほぼ均等,体長30cm以下は雄,それ以上は雌との傾向が確認されている.また,生殖腺の発達状態は周年産卵の可能性を示唆している. 2) 商業トロール船による成熟親魚採集 コタキナバル港を基地にしている底引き漁船をチャーターし,岸より3マイル以上沖の水深30~40m域においてオッタートロール船による操業を1月より各月に行っている.この採集により成熟した雌(精子を保有した)の採集が確認できた.雌の同時採集により人工授精の可能性が期待される. 3) 稚魚の着底場所の探索 成魚と同じ水深帯(コタキナバル湾沖)は商業トロール漁船により,波打ち際は小型桁網により,水深5~20m沖(コタキナバル湾)は小型漁船の用船による桁網操業により着底稚魚の採集を試みた.波打ち際の採集はコタキナバル湾奥を始めサバ州北東部沿岸の各所で実施した.まだ稚魚の採集は確認できていないが,水深10m~20m前後の砂泥底域に分布する可能性が推定された.
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